第一生命経済研究所 障がい者・要介護者の災害への備えと災害支援に関する調査 |
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調査結果の概要
第一生命保険株式会社のシンクタンク、株式会社第一生命経済研究所では、標記のアンケート調査を実施しました。はじめに、災害時に障がい者・要介護者がさまざまな行為をおこなうために、手助けがどの程度必要になると思うかたずねました。障がい者に「手助けが必要になると思う」割合は「自宅生活」で4割と最も高く、次に「避難所生活」「帰宅」がそれぞれ3割台となっています。要介護者に「手助けが必要になると思う」割合は障がい者よりさらに高く、いずれの行為においても過半数を占めています。次に、障がい者宅・要介護者宅での防災対策がどの程度おこなわれているかたずねました。(「おこなわれている」、「ある程度おこなわれている」と答えた割合を「実施率」する)障がい者宅での「災害時に必要な物の備蓄」「家具などの固定・転倒防止策」「非常持ち出し品の準備」の実施率はいずれも3割台にとどまっています。要介護者宅におけるこれらの実施率も障がい者宅と概ね同じです。続いて、災害時に必要な手助けに関する近所の人の認知率、近所の人への認知希望率について、詳しく分析しました。年齢層別にみると、障がい者・要介護者への手助けの認知率、認知希望率はいずれも若い人で低くなっています。近所付き合いの程度別にみると、「あいさつをする程度」の付き合いしかなくても、障がい者への手助けについての認知希望率は49.0%、要介護者への手助けについての認知希望率は80.6%に達しています。災害時に障がい者・要介護者への手助けが必要になった場合に、同居家族以外で頼りになりそうな人は誰かたずねたところ、障がい者・要介護者の「同居していない家族・親戚」の割合がそれぞれ半数前後(49.8%・55.8%)で最も高く、次いで「近所の人」(33.0%・44.0%)となりました。さらに、災害時に頼りになりそうな人がいると答えた人(「誰もいない」「わからない」と答えた人以外)に対して、最も頼りになりそうな人をたずねました。その結果、障がい者・要介護者の「同居していない家族・親戚」の割合がそれぞれ6割前後となり、次に「近所の人」の割合が3割前後を占めました。最後に、「災害時要援護者」について説明した上で、回答者がその言葉をどの程度知っていたかたずねました。障がい者の57.5%、要介護者の家族の64.1%が「まったく知らなかった」と答えました。
調査結果
- 災害時における障がい者・要介護者への手助けの必要性
【障がい者(n=285)】(単位:%) - 【要介護者(n=457)】(単位:%)
- 障がい者宅・要介護者宅での防災対策の実施状況
【障がい者(n=285)】(単位:%) - 【要介護者(n=457)】(単位:%)
- 災害時に必要な手助けについての近所の人の認知率、近所の人への認知希望率(単位:%)
【障がい者】 【要介護者】 n 認知率 認知
希望率n 認知率 認知
希望率年齢層 40歳未満 65 21.5 50.8 - - - 40~64歳 143 32.2 55.2 23 39.1 60.9 65歳以上 77 37.7 72.7 434 62.2 87.3 都市規模 大都市
(東京都区部・
政令指定都市)99 33.3 54.5 168 58.9 86.9 小都市
(政令指定都市
以外の市)155 27.7 59.4 241 60.6 85.5 町村 31 41.9 71.0 48 70.8 85.4 近所
付き合いの
程度親しく付き合っている人がいる 54 64.8 87.0 131 87.0 95.4 立ち話をする程度の人がいる 86 41.9 69.8 137 68.6 86.9 あいさつをする程度の人がいる 102 17.6 49.0 93 44.1 80.6 付き合いがある人はいない 43 - 25.6 66 30.3 72.7 注:災害時にどのような手助けが必要かについて近所の人が「知っていると思う」または「ある程度知っていると思う」と答えた割合を「認知率」、近所の人に「知ってほしい」または「ある程度知ってほしい」と答えた割合を「認知希望率」としている。