日本のものづくりを担う技術管理者の課題認識調査

  • 調査期間
  • 2012/12/19~2012/12/25
  • 調査対象
  • 従業員数1,000人以上の企業に勤め、研究開発、設計、生産技術、調達、製造の各部門の課長・部長職 500名(男性 496名、女性 4名)
  • 調査方法
  • インターネット調査

調査結果の概要

学校法人産業能率大学は、従業員数1,000人以上の企業に勤める研究開発、製造、生産技術など技術系部門の管理職(課長および部長)に対して、課題認識を尋ねる調査を実施しました。まず、市場環境の認識について尋ねたところ、「市場競争の激しさ」については、6割を超える64.2%が強い認識を持っており、業種別にみると、ほかの項目と同様に、食品、電機、自動車で競争が激しいとの認識が強いようです。「顧客ニーズの変化」については、およそ4割が、頻度が高いと認識しています。業種別にみると、食品、電機、自動車で頻度が高いという傾向がみられます。一方で、建設や精密は高いの割合が他と比較するとやや少ない結果です。業界で導入される新製品・新サービスについて、「10年前と比べた業界での新製品・サービスの変革度」については、3割強が高いと認識している一方で、低いとの認識も26%あります。業種別にみると、電機や自動車、通信(情報)は変革度が高まっているとの認識が強いようです。経済・企業活動のグローバル化の進展によって、新たに取り組まなければならなくなった課題について尋ねたところ(重要度がもっとも高いと思うものを1つ)、「コスト構造の見直し」がもっとも高く45.8%でした。技術系管理者においては、新興国市場など市場の変化よりもコスト構造の見直しに対する認識が強いようです。自社を取り巻く課題について尋ねたところ、顧客が要求する品質面の技術力のレベルは50.6%が「高い」、顧客が要求する納期の状況も42.8%が「早い」という結果で、顧客の要求レベルが厳しいと認識している様子をうかがうことができます。自社の状況については、製造現場の5Sが「良い」、ブランド力が「高い」などが目立つ一方で、販売・マーケティング部門等の技術部門以外との連携や、製品企画や研究テーマ設定は肯定的な回答が20%程度にとどまっています。研究開発活動に対する課題の認識を尋ねました。以下の各項目について、“そう思う"から“そう思わない"まで5段階で尋ねています(「分からない」も項目に入れていますが、これを除外して割合を算出しています)。「いわゆるコア技術といわれるような競争力をもった技術・製品を持っている」(44.4%)、「研究開発力は同業他社と比べて遜色ない状況にある」(36.7%)が“そう思う"と答えている一方で、課題としてあげた中では、「予定通りに技術あるいは製品開発が終わらない」、「研究テーマの設定や新製品の企画力が課題」「社内他部門との連携」が目立っています。また、「研究開発部門の人材には事業センスがある」「技術の専門性だけでなく、マーケティングの知識も持っている」は肯定的評価の割合が低い結果でした。最後に、日本の「ものづくり」について、中長期的(5年から10年)にみて世界での競争力はどのように変化すると思うかを尋ねたところ、「低下する」が59.2%と6割弱に達しました。部門別にみると、開発・設計、生産技術、製造の各部門で「低下」が6割を超えています。

調査結果

市場環境の認識(単位:%)
経済・企業活動のグローバル化の進展によって、新たに取り組まなければならなくなった課題(重要度がもっとも高いと思うものを1つ選択)(単位:%)
自社の状況に関する認識(10項目抜粋、単位:%)
研究開発活動に関する課題認識
【課題】(単位:%)
【状況】(10項目抜粋、単位:%)
日本のものづくりの競争力に関する中長期展望(単位:%)
調査実施先:産業能率大学