第一生命経済研究所 幼保一体化に関するアンケート調査(2)

  • 調査期間
  • 2011/10~2011/11
  • 調査対象
  • 全国2,000施設の私立幼稚園・私立保育所の園長と、3歳以上の幼稚園・保育所に通う子どもをもつ母親((株)クロス・マーケティング保有モニター) 400名
  • 調査方法
  • 施設調査:郵送配布・郵送回収、保護者調査:インターネット調査

調査結果の概要

((1)より続く)幼児教育と保育を共に実施する「幼保一体施設」(仮称)をつくることに対する賛否を尋ねました。施設調査では、すすめるべきだと思う(「すすめるべきだと思う」+「どちらかといえばすすめるべきだと思う」)と答えた割合は26.6%、すすめるべきとは思わない(「すすめるべきとは思わない」+「どちらかといえばすすめるべきとは思わない」)は46.8%で、否定的な意見が多くなっています。「幼保一体施設」を増やすことが、関東などに多い保育所の待機児童の解消につながるといわれていますが、地域別に比較すると、比較的肯定的な回答が多いのは近畿であり、関東では否定的な回答が多くなりました。幼稚園・保育所の統廃合が行われた地域の施設では、そうでない地域よりも肯定的な回答が多くなっています。保護者調査では、「すすめるべきだと思う」割合が41.8%、「すすめるべきとは思わない」が13.8%で肯定的な意見が多く、幼保一体施設をつくることに対して、幼稚園・保育所よりも保護者の方が肯定的なことがわかりました。幼保一体施設がつくられた場合、自園が移行するか否かを尋ねたところ、「直ちに移行を検討したい」と答えた施設は、幼稚園の8.1%、保育所の6.2%、「移行を検討したい」は、幼稚園が28.3%、保育所が21.2%となりました。「幼保一体施設」(仮称)を導入して、既存の幼稚園と保育所の一部または全部が移行するとした場合、どのような効果があるかを尋ねました。施設調査では、「0~2歳児の待機児童減少」をあげた割合は全体の38.6%となりました。幼保別にみると、幼稚園の方が、「0~2歳児の待機児童減少」(41.7%)、「家庭に対する育児支援強化」(35.2%)、「3~5歳児の待機児童減少」(27.1%)等の割合が高くなりました。保育所の待機児童を減らすために必要な施策を尋ねると、施設調査では、「保育所(0~2歳児)の増設」(32.5%)、「保育園が0~2歳児、幼稚園が3~5歳児に特化」(27.6%)、保護者調査では、「保育所(0~5歳児)の増設」(57.8%)、「保育所(0~2歳児)の増設」(39.0%)をあげた割合がそれぞれ高くなり、施設調査と保護者調査で結果が異なりました。「幼保一体施設の増設」をあげた割合は、いずれの調査でも低いですが、施設よりも保護者の方が待機児童対策として効果があると考えています。保護者調査において、優先的に実施してほしい子育て支援を尋ねました。「子どもをもつ家庭への経済支援」(48.0%)、「幼児教育にかかる費用の軽減」(46.0%)という経済的な支援を求める意見が多くなりました。

調査結果

「幼保一体施設」(仮称)をつくることについて(幼稚園・保育所、地域、地域における幼稚園・保育所の統廃合別)<施設調査・保護者調査>
【施設調査】(単位:%)
nすすめるべきと思う(計)すすめるべきとは
思わない(計)
全体54726.646.8
幼稚園24725.948.9
保育所27424.147.8
北海道・東北8426.245.2
関東16021.250.0
中部9421.352.1
近畿6836.841.2
中国・四国・九州・沖縄13531.143.0
幼稚園・保育所廃止・統合なし34723.949.0
幼稚園・保育所廃止・統合あり20031.043.0
【保護者調査】(単位:%)
nすすめるべきと思う(計)すすめるべきとは思わない(計)
全体40041.813.8
幼稚園20040.015.5
保育所20043.512.0

※この調査では、幼児教育と保育を共に実施する施設を「幼保一体施設」(仮称)として、幼保一体施設をつくることに対する基本的な意識を尋ねている。政府の子ども・子育て新システムの法案で想定されている施設そのものではない。
「幼保一体施設」(仮称)がつくられた場合、自園は移行するか(幼保・地域別)<施設調査>(単位:%)
幼稚園
n直ちに
移行を
検討
したい
移行を
検討
したい
当面
移行は
検討
しない
移行を
検討する
つもりは
ない
わから
ない
無回答
全体2478.128.336.415.410.51.2
北海道・
東北
385.334.231.613.213.22.6
関東806.322.536.325.08.81.3
中部5510.910.954.59.112.71.8
近畿2814.335.735.714.3--
中国・四国・
九州・沖縄
427.150.021.47.114.3-

保育所
n直ちに
移行を
検討
したい
移行を
検討
したい
当面
移行は
検討
しない
移行を
検討する
つもりは
ない
わから
ない
無回答
全体2746.221.229.922.315.74.7
北海道・
東北
442.327.320.522.722.74.5
関東724.218.136.122.218.11.4
中部3613.916.725.016.719.48.3
近畿3611.125.030.619.48.35.6
中国・四国・
九州・沖縄
844.821.432.125.011.94.8
「幼保一体施設」(仮称)を導入して、既存の幼稚園と保育所の一部または全部が移行するとした場合、どのような効果があると思うか(複数回答、全体、幼保別)<施設調査>(単位:%)
全体幼稚園保育所
0~2歳児の待機児童減少38.641.733.2
家庭に対する育児支援強化30.735.225.2
施設の効率利用24.323.923.4
幼児教育の強化20.117.421.2
3~5歳児の待機児童減少19.227.110.9
幼稚園・保育所の経営安定11.016.24.4
子ども集団つくり10.18.510.2
その他9.710.98.8
特にない19.715.824.8
無回答6.97.36.9
保育所の待機児童を減らすために必要な施策(複数回答)<施設調査、保護者調査>(単位:%)
優先的に実施してほしい子育て支援(5つまで選択、上位10項目抜粋)<保護者調査>(単位:%)
調査実施先:第一生命経済研究所