通信研修の活用実態に関する調査

  • 調査期間
  • 2011/01/31~2011/02/04
  • 調査対象
  • 全国の通信研修を導入している企業の人事担当者 183人(男性150人、女性33人)
  • 調査方法
  • インターネットリサーチ

調査結果の概要

学校法人産業能率大学 総合研究所では通信研修を導入している企業等の人事・人材開発担当者に対して、通信研修の活用実態に関する調査を実施しました。まず、通信研修を採用する上で重視したことを尋ねたところ、「当てはまる」「やや当てはまる」をあわせた『当てはまる』の割合が最も高かったのは『従業員が各自のペース(場所・時間等)で学習をすすめることができる』86.9%でした。「当てはまる」だけに絞って見ると、『地域を問わず、従業員に教育機会を均等に提供することができる』40.4%、『対象者数を問わず、従業員に教育機会を一斉に提供することができる』37.7%が目立ちます。通信研修の採用に関する判断は、学習しやすさ、全従業員向けの『マス』へのアプローチのしやすさが大きな動機になっていることが窺えます。通信研修の活用目的を尋ねたところ、「階層や役割ごとに求められる知識・スキルの向上をはかるため」52.5%が最も高く、「資格取得を促進するため」51.4%も5割を超え、「社員のキャリア意識を醸成するため」44.8%が続いています。受講者選択型(社員の自由意志で受講)と指名受講型(対象層および対象コースを会社や上司が決定して受講)に分けて、修了した場合の会社の費用負担率を尋ねました。受講者選択型では、全額補助が27.9%と4分の1程度に留まりますが、指名受講型ではこれが59.6%と6割弱に達しています。いずれの場合も、半額以上を支援すると答えた割合が8割を超えています。通信研修による教育の実施テーマを尋ねたところ、最も割合が高かったのは「新入社員クラスの仕事全般」 81.4%、これに「資格取得」78.7%、「中堅社員クラスの仕事全般」77.0%が続きます。全体的にみると、課長クラス以下に求められるリーダーシップ、部下指導・コーチング、計数、コンプライアンスといったビジネスパーソンとして、あるいは組織人としての『土台づくり』につながるようなテーマが上位にきています。学習効果を高めるために行っている施策を尋ねたところ、いずれも半数を超えるものはありませんでした。その中で、最も回答が多かったのは「人事・人材開発部門から現場に対して学習促進のための各種情報提供を行っている」45.4%でした。実施している施策について効果の有無を尋ねたところ、「人事・人材開発部門から現場に対して学習促進のための各種情報提供を行っている」が83.1%で、一番効果を実感しているようです。

調査結果

通信研修採用のポイント(上位10位まで)(単位:%)
通信研修を活用する目的(5つまで回答)(上位5位まで)(単位:%)
通信研修(受講者選択型・指名受講型)の費用負担率(単位:%)
通信研修の実施テーマ(上位10位まで)(単位:%)
通信研修の学習効果を高めるために行っている施策・効果があるもの(実施しているもの)(単位:%)
行っている
施策
効果が
あるもの
人事・人材開発部門から現場に対して学習促進のための各種情報提供を行っている45.483.1
職場の上司がメンバーの学習状況・学習内容を把握し、支援している27.376.0
学習した内容を職場内の勉強会等で発表する場を設けている25.180.4
学習した内容を業務の中で実践できる機会を設けている23.081.0
学習内容を定着するために集合研修を実施している15.844.8
学習した内容について一定期間後に確認テストを実施している13.154.2
学習した内容について行動の変化を記録しフィードバックしている12.063.6
学習の段階から複数名でのグループ受講形態をとっている8.280.0
※今後実施する必要性が高いものを尋ねたところ、「学習した内容を業務の中で実践できる機会を設ける」42.6%が最も高く、「学習した内容を職場内の勉強会で発表する場を設けている」31.1%、「職場の上司がメンバーの学習状況・学習内容を把握し、支援している」34.4%も上位にきています。いずれも、施策として実施しているのは2割程度に留まりますが、効果は8割前後が実感しています。学習と実践を結びつけることの重要性は認識しているように見受けられます。
調査実施先:学校法人 産業能率大学 総合研究所