階層別の能力開発ニーズ~「経済危機下の人材開発に関する実態調査」から

  • 調査期間
  • 2010/02/05~2010/03/09
  • 調査対象
  • 従業員300人以上の企業 200件(配布数4,231件、回収率4.7%)
  • 調査方法
  • 郵送法

調査結果の概要

(学)産業能率大学 総合研究所では、従業員300人以上の企業を対象に、リーマンショック後の経済危機下における日本企業の人材開発に関する実態調査を実施しました。本調査は、日本企業の人材育成に対する姿勢を表す1つの材料として、調査結果のうち、『階層別の能力開発ニーズ』と『教育の実施状況』に関する部分に焦点を当てて、まとめたものです。若手社員、中堅・リーダー社員について特に強化すべき能力・知識を尋ねたところ、若手社員では、「コミュニケーション力」77.5%が最も多く挙げられました。若手社員に対する教育を実施している企業に具体的な教育の内容を尋ねた質問でも、「コミュニケーション」56.4%の教育が最も実施されており、課題認識に対応する形で教育が実施されていることがわかります。中堅・リーダー社員について特に強化すべき能力・知識では、「リーダーシップ」73.5%が最も多く、「後輩を指導する力」72.0%が続きました。中堅・リーダー層に対しては、他者に対する影響力や指導力を発揮することを強く求めている様子が窺えます。具体的な教育の内容を尋ねた質問(同層への教育を実施していると回答した88.9%の企業が対象)では、「役割認識」58.5%が最も多く、「リーダーシップ」56.3%、「後輩育成」50.0%が続いています。役割を認識させた上で、強化すべき能力に対応した教育を実施している企業が多いようです。課長層、部長層について特に強化すべき能力・知識を尋ねたところ、課長層では、「部下を育成する力」76.5%が最も多く、新任の課長層に実施している教育内容(新任課長に教育を実施していると回答した80.7%の企業が対象)では、「部下育成」62.9%が最も多く、「目標管理」58.5%、「労務管理」54.1%、「人事考課」52.8%が半数を超えて続いています。「部下育成」については強化すべき能力に対応して教育が実施されており、その他については管理者として必須の知識・スキルを新任時に教育して習得させようとしている企業が多いことが考えられます。部長層について特に強化すべき能力・知識では、「戦略的にものごとを考える力」64.5%が最も多く、「職場の構想を描く力」62.5%が続きました。「経営戦略/マーケティングに関する知識」56.0%も半数を超え、部長層には外部環境や競合、市場の動向を抑えながら、自部門の目指す方向性を打ち出す力の強化が必要だと認識しているようです。(新任の部長に対する教育を実施している企業は34.8%に留まる一方で)既任の部長層に対する教育を実施しているのは50.0%と半数。部長層に対しては、必ずしも新任時を教育の時期として重視せず、必要性が生じた場合に随時実施している企業が多いと考えられます。

調査結果

若手社員、中堅・リーダー社員について特に強化すべき能力・知識
若手社員、中堅・リーダー社員に対して実施している教育内容
課長層、部長層について特に強化すべき能力・知識
課長層、部長層に対して実施している教育内容
調査実施先:学校法人 産業能率大学