第一生命経済研究所「お墓のゆくえ-承継問題と新しいお墓のあり方-」(1) |
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調査結果の概要
(株)第一生命経済研究所では、35歳から79歳までの全国の男女を対象に、標記についてのアンケート調査を実施しました。はじめに、家庭内における死者祭祀の実態を子ども時代と現在とで比較しました。仏壇や神棚の現在の保有率は20pt以上も減少していましたが、特に神棚の保有率の減少が顕著でした。その一方で、「お盆やお彼岸にお墓参りをした(する)」人の割合は、子どもの頃も現在もほぼ変化していないうえ、回答率は8割近くに達しています。次に、『先祖』とは私たちにとって誰なのでしょうか?最も多かったのは「自分の親や祖父母などの近親者」73.2%で、「自分の家系の初代または初代以降すべて」50.3%を挙げた人は半数程度に留まっていました。性別で見ると、「配偶者の親や祖父母などの近親者」や「配偶者の家系の初代または初代以降すべて」では、女性の回答率が男性を大きく上回っており、このことから、女性ではむしろ、自分や配偶者の親や祖父母など、自分にとっての近親者といった先祖観を持っているのではないでしょうか。次に誰と一緒のお墓(納骨堂を含む)に入りたいか?尋ねました。全体では「先祖代々のお墓」39.0%が最も多く、次いで多い「今の家族で一緒に入るお墓」25.0%を14ptも上回っており、家墓志向の人は少なくありません。性別では、「先祖代々のお墓」を希望する人は、男性では48.6%いたのに対し、女性では29.9%と、20pt近い差がありました。また女性では、「お墓はいらない」と考える人が26.2%もいましたが、男性では14.7%に留まっており、総じて男性はお墓に対して保守的な考えを持っていることがわかります。年齢層別では、年齢が高い層では「先祖代々の墓」を選択する人が多く、「お墓はいらない」と考える人が少ないのですが、64歳以下では、約1/4が「お墓はいらない」と考えているうえ、35~49歳では、「先祖代々の墓」と「今の家族で一緒に入るお墓」とがほぼ二分されていることから、若い世代や女性では、墓に対する意識が多様化していると言えます。無縁化防止対策として、お墓はどのように維持管理されるのが好ましいか?尋ねました。「期限付きのお墓にして、継承する人がいなければ期限後に合葬する」35.3%と「寺や教会などが子孫に代わって管理する」33.4%がほぼ二分されました。性別で見ると、男性では「寺や教会などが子孫に代わって管理する」方法を挙げる人が、一方、女性では「期限付きのお墓にして、継承する人がいなければ期限後に合葬する」方法を挙げる人の方が多いという結果になりました。年齢層別では、「養子をとってでも、子孫が代々継承し、管理する」方法を挙げる人は、年齢が高い層で多くなっています。実際に自分のお墓が無縁化すると思うか?尋ねたところ、「いつかは無縁墓になる」50.3%と回答した人は半数に達し、「近いうちに無縁墓になる」4.1%を合わせると、無縁化すると考える人は54.4%もいました((2)に続く)。
調査結果
- 家庭内の死者祭祀の実態(子どもの頃と現在の比較) (単位:%)
子どもの頃 現在 仏壇があった(ある) 68.7 46.9 神棚があった(ある) 65.1 37.0 仏壇や神棚に手を合わせていた(いる) 67.0 51.5 お盆やお彼岸にお墓参りをした(する) 81.0 76.9 お盆や月命日などに、お坊さんがお経をあげに来た(来る) 47.8 22.1 このなかに、あてはまるものはない 6.7 15.4 - 先祖とは(全体、性別)(複数回答) (単位:%)
全体 男性 女性 自分の親や祖父母などの近親者 73.2 76.1 70.5 自分の家系の初代または初代以降すべて 50.3 48.2 52.3 配偶者の親や祖父母などの近親者 45.5 38.0 52.7 配偶者の家系の初代または初代以降すべて 26.1 15.8 35.9 自分の親類縁者 14.6 13.0 16.1 配偶者の親類縁者 9.6 6.3 12.8 その他 1.2 1.4 1.0 - 誰とお墓に入りたいか(全体、性別、年齢層別) (単位:%)