調査結果の概要
肉や野菜などの食材や、塩・砂糖といった調味料のハザマでちょっと陰の薄い「粉もの」。しかし、料理には不可欠、多種多様な用途に利用される万能食材でもある。不況によって手作り志向が再燃するいま、主婦が切り盛りするキッチンには、どんな「粉もの」が常備され、利用されているのだろうか。キッチンの縁の下の力持ち「粉もの」の利用実態について聞いてみた。買ったことがある粉もの、常備している粉ものを尋ねたところ、「薄力粉(小麦粉)」98.8%、「片栗粉」98.5%はほぼ全員が購入している。多くの料理で必要になる食材であるため、常備している率は9割以上となった。買ったことがある粉ものでは、次いで「ホットケーキミックス」96.0%が大健闘。常備率も7割(67.4%)に近い。あまり使わないが、使いたいと思っているものを聞いたところ、「全粒粉・ライ麦粉」32.8%では3分の1の回答者が使ってみたいと回答しているが、一方で、「(あまり使わないが、使ってみたい粉ものは)ない」25.7%という回答者が全体の4分の1を占めた。使いかけの粉ものを捨てるのはどんなときか?「たいてい使い切るので廃棄はしない」36.3%というしっかり者の無駄なしさんタイプが3割。血液型で言えばA型タイプとも言えるかもしれない。ホットケーキミックスのように、『こんなものが作れる粉があればいい』と思うもので最も多かったのが「パン(類の専用粉)」27.7%。次いで「ケーキ」18.7%が挙げられ、溶いて焼くだけの粉に期待が集まる。粉ものを使った思い出料理について年代別に比較した。1位の「ケーキ/焼き菓子」では若干40代のほうが多いが大差はない。しかし、40代では「めん類」、「すいとん/団子汁」が30代を2倍近く上回り、「ドーナツ」で2倍、「揚げ物」では3倍以上高くなっている。反対に、「お好み焼き/たこ焼き」、「パン」、「ピザ/ナン」、「餃子/肉まん」、「和菓子」、「郷土料理」で30代が40代を1.5倍前後上回っている。40代に比べ30代では食の多様化が明らかに見て取れる。40代で多い「すいとん/団子汁」は、その親世代が子ども時代を過ごした戦後の食糧難を反映するかのようだ。終戦から年月が経過し、戦争の記憶の風化が言われているが、粉ものの思い出から見ても、30代と40代の間に大きな溝ができていることがわかる。粉ものが日常生活に密着している食品であるからこそ出てきた結果だと言えよう。