2009年度新入社員に見るゆとり世代の特徴(1) |
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調査結果の概要
産業能率大学では、6月に発表した「2009年度新入社員の会社生活調査」を年代別にクロス集計し、ゆとり世代(1987年度生まれ以降=21歳以下)と、22歳以上の層を比べてゆとり世代の特徴を明らかにした。就職先を選ぶ際に重視したことは、項目によって双方の世代で大きく差があり、ゆとり世代(21歳以下)、22歳以上のいずれも「仕事内容」「業種」が1位、2位だったが、これに続く3位は、ゆとり世代では「所在地」47.9%、一方の22歳以上では「企業風土」47.3%。「企業風土」はゆとり世代では7番目(15.0%)で、ほとんど重視されていないことがわかる。働くことに対して求めるものは、ゆとり世代は「人間としての成長」42.9%が高く、一方、「社会の役に立つ」8.6%や「自己実現」7.1%は低い結果に。『仕事でこれを実現したい!』『社会や人の役に立ちたい!』という仕事に対する『熱さ』よりも、自分自身の成長に対する実感を求めている様子。出世についても、「努力・能力の証」29.3%という回答が顕著に高く、「所得の向上」や「社会的なステイタスの向上」などは22歳以上の層より低くなっている。ゆとり世代は、成長欲求が強いのかもしれない。具体的なキャリアプランの有無を聞くと、ゆとり世代は22歳以上の層よりも顕著に「今は考えていない」51.8%が高く、自身のキャリアは不明瞭な模様。将来の進路については、『専門職志向(エキスパート)』66.4%が高いことがわかる。近年の新入社員は管理職志向が高まる傾向にある中、全く逆の結果が出ている。将来目指す地位への関心を尋ねると、地位に対する関心の低さが伺える。経済環境の悪化による将来不安を基に、ゆとり世代は時代を見ながら有事に備えて『手に職』を付けておきたいと考えているように感じられる。また、どのようにされると伸びるタイプかを聞いた質問では、「褒められると伸びる」57.6%が多いものの、「客観的で適切な評価だけで十分」27.3%が22歳以上より高い回答結果が出ている。ゆとり世代は、上の世代に比べると転職に否定的で、転職について「キャリアアップ」と「挫折」のどちらのイメージが強いかを聞くと、顕著に「挫折」47.9%が高い。ゆとり世代は「キャリアアップ」52.1%と「挫折」47.9%が拮抗しているにもかかわらず、22歳以上ではキャリアアップが75.1%、挫折が24.6%と大きく開きがある。働くうえで『キャリアプランの方向性』として「どのような企業でも働ける能力を身につけたい」か「勤務先にとって不可欠な人材となりたい」かを聞いた質問では、「勤務先にとって不可欠な人材となりたい」がゆとり世代では74.3%、22歳以上では65.8%だった((2)に続く)。
調査結果
- 就職先を選ぶ際に重視した項目は何ですか?(3つ選択) (単位:%)
21歳以下(140) 22歳以上(448) 仕事内容 64.3 71.4 業種 60.7 63.4 所在地 47.9 31.0 給与水準 29.3 17.6 企業規模 22.9 8.7 福利厚生 18.6 21.2 企業風土 15.0 47.3 その他 14.3 10.9 知名度 12.1 6.3 キャリアアップできそう 6.4 14.5 研修制度 3.6 2.2 経営者 2.9 4.7 - あなたが働くことに対して強く求めるものは何ですか?(最も近いものを1つ)
- 出世という言葉から浮かぶイメージとして最も近いものはどれですか?
- あなたは将来の自身のキャリアプランについて考えていますか?
- 将来の進路としてどのような方向を望みますか?