2009年度新入社員に見るゆとり世代の特徴(1)

  • 調査期間
  • 2009/03/25~2009/04/10
  • 調査対象
  • 2009年度入社の新入社員 589人(21歳以下140人、22歳以上449人)
  • 調査方法
  • 自記式法

調査結果の概要

産業能率大学では、6月に発表した「2009年度新入社員の会社生活調査」を年代別にクロス集計し、ゆとり世代(1987年度生まれ以降=21歳以下)と、22歳以上の層を比べてゆとり世代の特徴を明らかにした。就職先を選ぶ際に重視したことは、項目によって双方の世代で大きく差があり、ゆとり世代(21歳以下)、22歳以上のいずれも「仕事内容」「業種」が1位、2位だったが、これに続く3位は、ゆとり世代では「所在地」47.9%、一方の22歳以上では「企業風土」47.3%。「企業風土」はゆとり世代では7番目(15.0%)で、ほとんど重視されていないことがわかる。働くことに対して求めるものは、ゆとり世代は「人間としての成長」42.9%が高く、一方、「社会の役に立つ」8.6%や「自己実現」7.1%は低い結果に。『仕事でこれを実現したい!』『社会や人の役に立ちたい!』という仕事に対する『熱さ』よりも、自分自身の成長に対する実感を求めている様子。出世についても、「努力・能力の証」29.3%という回答が顕著に高く、「所得の向上」や「社会的なステイタスの向上」などは22歳以上の層より低くなっている。ゆとり世代は、成長欲求が強いのかもしれない。具体的なキャリアプランの有無を聞くと、ゆとり世代は22歳以上の層よりも顕著に「今は考えていない」51.8%が高く、自身のキャリアは不明瞭な模様。将来の進路については、『専門職志向(エキスパート)』66.4%が高いことがわかる。近年の新入社員は管理職志向が高まる傾向にある中、全く逆の結果が出ている。将来目指す地位への関心を尋ねると、地位に対する関心の低さが伺える。経済環境の悪化による将来不安を基に、ゆとり世代は時代を見ながら有事に備えて『手に職』を付けておきたいと考えているように感じられる。また、どのようにされると伸びるタイプかを聞いた質問では、「褒められると伸びる」57.6%が多いものの、「客観的で適切な評価だけで十分」27.3%が22歳以上より高い回答結果が出ている。ゆとり世代は、上の世代に比べると転職に否定的で、転職について「キャリアアップ」と「挫折」のどちらのイメージが強いかを聞くと、顕著に「挫折」47.9%が高い。ゆとり世代は「キャリアアップ」52.1%と「挫折」47.9%が拮抗しているにもかかわらず、22歳以上ではキャリアアップが75.1%、挫折が24.6%と大きく開きがある。働くうえで『キャリアプランの方向性』として「どのような企業でも働ける能力を身につけたい」か「勤務先にとって不可欠な人材となりたい」かを聞いた質問では、「勤務先にとって不可欠な人材となりたい」がゆとり世代では74.3%、22歳以上では65.8%だった((2)に続く)。

調査結果

就職先を選ぶ際に重視した項目は何ですか?(3つ選択) (単位:%)
21歳以下(140)22歳以上(448)
仕事内容64.371.4
業種60.763.4
所在地47.931.0
給与水準29.317.6
企業規模22.9  8.7
福利厚生18.621.2
企業風土15.047.3
その他14.310.9
知名度12.1  6.3
キャリアアップできそう  6.414.5
研修制度  3.6  2.2
経営者  2.9  4.7
あなたが働くことに対して強く求めるものは何ですか?(最も近いものを1つ)
出世という言葉から浮かぶイメージとして最も近いものはどれですか?
あなたは将来の自身のキャリアプランについて考えていますか?
将来の進路としてどのような方向を望みますか?
最終的に目標とする役職・地位は?
あなたはどのようにされると伸びるタイプですか?
“転職”から受けるイメージとして、より強く感じるのはどちらですか?
これから働くうえで今の気持ちに近いものは?(キャリアプランの方向性
調査実施先:学校法人 産業能率大学