現場の産業カウンセラー136名に聞く「経済危機における職場の現状」

  • 調査期間
  • 2009/04~2009/05
  • 調査対象
  • 産業カウンセラー 136人
  • 調査方法
  • インターネット調査

調査結果の概要

(社)日本産業カウンセラー協会は、経済危機において職場でどのような事態が起こっているのか?について、アンケートを実施しました。経済状況の悪化に伴う職場の変化について明らかにするため、過去1年間の期間に限定しての職場のトラブル事例について、雇用/賃金/福利厚生/メンタルヘルスの4分野にわたって尋ねました。雇用については、41.2%の産業カウンセラーが、「非正規社員の一方的な雇用契約解除」の事例経験があると応え、「退職勧告・ほのめかし」39.0%、「自己都合退職の強要」28.7%などが続きました。出向や部署のたらい回し、キャリアカウンセリングの強要など、退職に追い込むための様々な手法がとられています。その一方で、残った社員は、「残業代の未払い」43.4%や、「賃金引下げ」29.4%、「定期昇給の見送り」24.3%などに脅かされながら、退職した人たちの仕事を抱え、厳しい残業規制の中、サービス残業や休日出勤を余儀なくされている反面、自宅待機や一時帰休の実施により、不安な日々を送っている人たちもいます。過重労働は「休暇が取れない・取りにくい」55.1%職場を作っています。さらに、「福利厚生サービスの削減・廃止」20.6%、「福利手当ての削減・廃止」13.2%など、福利厚生の面でも後退が続いているようです。そうした状況が、「メンタルヘルス不調者の増加」70.6%につながっていることは明らかです。次の解雇対象になるのではないかという不安、「他にいくらでも人材はいる」と罵倒するパワハラ、過重業務の分担における不公平感などで、「職場のモチベーションの低下」66.9%、「職場の人間関係の悪化」51.5%、「職場の雰囲気の悪化」50.0%へと、負の連鎖が起こっています。経済危機時により先鋭化するこうした職場トラブルの対象は誰なのか?聞いたところ、最も多かったのは「女性」61.0%でした。厚生労働省によると、育児休業を取得した社員を解雇する「育休切り」の相談が、2008年度は前年度に比べ3割増となったとのことですが、今回のアンケートでも「育児や産休女性に対する不利な取り扱い」事例は14.0%となっています。職場は心身ともに疲労しています。経済危機の中、雇用や働き方について、新しい取組み・新しい考え方を導入していくことが必要です。産業カウンセラーが、これからの勤労社会において重要と考えることのトップは、「ワークライフ・バランスの導入・推進」64.0%でした。次いで「若者への支援・ケアの強化」42.6%、「ワークシェアリングの導入」40.4%、「過度な競争社会の緩和」39.0%、「社会保障や勤労者福祉の充実・関連制度の強化」38.2%などが続きました。

調査結果

現在、世界的な経済危機により、雇用や勤労環境に大きな影響が出ています。過去1年間に、あなたが見たり相談を受けたりしたトラブルが下記にあればすべてお選びください。
■雇用関連 (単位:%)
■賃金関連 (単位:%)
■福利厚生関連 (単位:%)
■メンタルヘルス関連 (単位:%)
上記のような職場のトラブルや不利な取り扱いの対象についてお伺いします。あなたのご存知の事例の対象者の属性をすべてお選びください。 (単位:%)
経済危機を受けて、雇用や働き方など、勤労者をめぐって新しい取り組みや工夫が模索されています。これからの勤労社会において、重要・有効と考えられることがありましたらいくつでもお選びください。 (単位:%)
調査実施先:(社)日本産業カウンセラー協会