在中日系企業の日本人経営管理者の意識調査

  • 調査期間
  • 2007/10~2007/12
  • 調査対象
  • 中国の日系企業に勤務している日本人経営管理者 17人
  • 調査方法
  • 留置法及び集合調査

調査結果の概要

在中日系企業の日本人経営管理者を対象に、中国従業員の活用状況および活用方法について意識調査を行った。その結果、中国人従業員を採用する理由では「人件費が安い」32%が首位となっている。「ITや理工系の人材が不足しているから」16%との回答はあまり高くなく、日系企業の中国進出の最大の目的は依然として「人件費の安さ」にあるという事が窺える。採用の際、日系企業が最も重視しているのは「人間性」59%が最も多く、次いで「仕事の経験」41%となっており、現地では中途採用が多い実態が窺える。中国人従業員を採用してよかった事を挙げてもらうと、「仕事の効率が高い」41%が1位。以下、「仕事の覚えが速い」24%、「考える力がある」12%と続き、一方、困った事では「評価・給料にこだわる人が多い」「公私を区別しない」同41%、「すぐ辞めてしまう」35%、「協調性が無い」29%などが上位に挙げられた。中国スタッフをうまく活用する方法としては「教育訓練が不可欠である」47%、「成果主義を導入する」41%、「責任ある仕事を任せる」35%という回答が多かった。この回答から、日本の企業文化、日本のやり方に適応して欲しい(教育訓練)一面と、中国人の考え方に柔軟に対応しようとする一面(仕事の任せ方、成果主義)が窺える。

調査結果

中国人従業員を採用する理由
「その他」の記述では、「日本人より優秀に思えるから」「中国人と仕事するには現地人に任せたい」という人材戦略や中国事業戦略に基づいた発想と「中国人しかいないから」とやや後ろ向きの発想もある。
採用で重視している事
回答者の中には、人間性と日本語でのコミュニケーション能力を非常に重視するものもあった。その理由としては、「仕事に関しては教育でカバーできるが、人間性とコミュニケーション力は教育でカバーする事が困難だから」である。
中国人従業員を採用して良かった事
プラス評価の中に、実行力、考え方、勤勉さなどの内容も見られる。同時に「成果を明確にしたがる」という日中文化の相違に関する興味深い内容もあった。
中国人従業員を採用して困った事
インタビューの中で、最も多く指摘されたのは「言われた事しかしない」、「仕様通りの仕事しかやってこない」である(これは文化の相違による問題)。また、自由記述の中に、「仕事が終わるとパッと帰る」、「残業を要求する」で困るという一見矛盾している記述があるが、一般的に、生産現場の作業員は残業を要求する傾向が強いと思われる。
中国スタッフをうまく活用する方法
調査実施先:学校法人 産業能率大学国際経営研究所