外国人介護士に関するアンケート(2)

  • 調査期間
  • 2008/07/25~2008/08/08
  • 調査対象
  • 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の三大介護施設及び有料老人ホーム 427票
  • 調査方法
  • 郵送自記式法

調査結果の概要

(1より続く)雇用している外国人介護士の出身国は、1位「フィリピン」51.9%、2位「中国」23.6%、3位「韓国」21.7%であった。在日外国人受け入れに関して実施した特別な取り組みは「業務内容の限定」30.2%がもっとも多く、3割を占めた。在日外国人介護士を今後雇用していきたいですか?という設問に対し、半数以上の施設が「どちらとも言えない」54.6%と回答しており、外国人雇用に関し慎重になっている事が窺える。在日外国人介護士の良い部分、良くない部分を尋ねたところ、「真面目に働いてくれる」92.9%と「明るい」73.8%を評価する一方で、問題点として「記録などで業務に支障がある」65.2%や「職員とのコミュニケーション」57.6%を挙げる施設も多かった。「在日外国人を介護職として雇用していない、または雇用した事がない」と回答した施設に、雇用する場合の課題となるものを尋ねると、「コミュニケーション」76.8%と「記録業務」75.8%を挙げる施設が75%以上となった。

調査結果

1より続く
雇用している外国人介護士は、どちらの国の出身ですか?(「在日外国人を介護職として雇用している、または雇用した事がある」と答えた回答者) (単位:%)
在日フィリピン人のホームヘルパー取得者は1,000人を超え、同社でも多数の方が派遣就業している。全国で約18万人が在日しており、その多くが首都圏に集中しているため、介護人材としての期待も大きい。先日、派遣先施設にヒアリングしたところ、明るく真面目で、ご利用者様からの評判も上々との事である。民間組織ではあるが、『LFCAJ(在日フィリピン人介護士協会)』も活動しており、フィリピンとのEPAが発効すれば、その教育担当者としても、ますます重要性を増してくると思われる。また、特別永住者の方と思われるが、中国・韓国籍の方も多く就業している。
在日外国人受け入れに際して、何か特別な取り組みを実施しましたか?(同上) (単位:%)
多くの施設が「業務内容の限定」30.2%を選択している。やはり漢字の読み・書きに不安があるため、記録の代筆や、入浴専門業務などの対応が多い。
在日外国人介護士を、今後雇用していきたいとお考えですか?(全対象者) (単位:%)
実際に24.8%の施設が在日外国人介護士を雇用した事があるのに対して、“今後も継続して雇用していきたい”、“新たに雇用したい”を合わせて9.8%と大幅に下回る結果となった。
在日外国人介護士の良い部分はどこですか?(左下設問で「はい」と答えた回答者) (単位:%)
在日外国人介護士の良くない部分はどこですか?(左下設問で「いいえ」と答えた回答者) (単位:%)
在日外国人を雇用するにあたり、課題となる部分は何ですか?(「在日外国人を介護職として雇用していない、または雇用したことがない」と答えた回答者) (単位:%)
【まとめ】
今回のアンケート調査では、「外国人介護士を活用する前に、日本人介護士が安心して働けるような制度と待遇を考える事が先決である」という意見が多数あった。当然、外国人介護士が大量に流入する事で、介護士の世間的な地位や待遇の向上が妨げられるような事があってはならない。ただ、長期的に考えると、今後ますます高齢化が進む中で、外国人労働力は欠かせないものになると思われる。そのような中で、注目すべきは“在日”外国人たちの力ではないだろうか。特にフィリピン人は首都圏を中心に18万人が在日しており、ホームヘルパー2級修了者も1,000名を超えている。在日の方は、日本で長く生活しているので、文化や習慣の違いも分かっており、何より新たに海外から介護士を受け入れた際に、“教育担当”としても適任である。フィリピンとのEPA発効も間近に迫っており、早急な準備が必要ではないだろうか。
調査実施先:(株)ニッソーネット