外国人介護士に関するアンケート(1)

  • 調査期間
  • 2008/07/25~2008/08/08
  • 調査対象
  • 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の三大介護施設及び有料老人ホーム 427票
  • 調査方法
  • 郵送自記式法

調査結果の概要

福祉の人材派遣及び育成を行う(株)ニッソーネットでは、首都圏の三大介護施設(介護老人福祉施設<特別養護老人ホーム>、介護老人保健施設、介護療養型医療施設の3つを指す)及び有料老人ホームに対して、『外国人介護士についての意識調査』を実施した。その結果によると、EPAについて知っていますか?という設問に対し、6割近い施設が「はい」57.4%と回答、関心の高さが窺える。インドネシア/フィリピンからの外国人介護士を受け入れたいですか?という設問では、それぞれ6割以上が「まだわからない」64.2%/62.5%と回答。まだ様子見の施設が多い事が明らかになった。そのため、受け入れに関する特別な取り組みを実施、あるいは実施しようとしていますか?という設問で取り組みに関する回答があったのは約2割に留まった。EPAの受け入れの枠組みに満足していますか?という設問に対して「はい」11.9%と答えた施設は約1割で満足度が低かった(満足な部分としては「来日の資格要件」92.2%や「三年後の介護福祉士合格の義務化」90.2%が多かった)。EPAのどのような部分に不満がありますか?という設問では、「受け入れのための金額」97.6%、「三年後の介護福祉士合格義務化」71.4%と答えた施設が非常に多かった。在日外国人介護士の雇用について、回答を寄せてくれた施設のうち約4分の1にあたる施設が「雇用しているか雇用した事がある」24.8%と回答し、その場合の必須条件として「日本の介護資格」44.3%、「日本での介護実務経験」35.8%、「日本での永住権」34.0%などを挙げている。

調査結果

EPA(※)についてご存知ですか?(全対象者) (単位:%)
(Economic Partnership Agreement=経済連携協定)とは自由貿易協定(FTA)と異なり、単に関税を撤廃するなど、通商上の障壁を取り除くだけでなく、締約国間で経済取引の円滑化、経済制度の調和並びに、サービス、投資、電子商取引等、さまざまな経済領域での連携強化・協力の促進等をも含めたものを言う。
インドネシア/フィリピンからの外国人介護士を受け入れたいとお考えですか?(全対象者) (単位:%)
当初はインドネシアより早く来日する予定であったフィリピン人介護士であるが、フィリピン国会での批准が遅れており、来年度に持ち越されている。インドネシア人介護士との大きな違いは、“准介護福祉士”により3年後に介護福祉士受験に失敗した場合も、継続して滞在できる救済措置が設けられる点にある。その点が影響してか、すでに発効済みのインドネシア人介護士よりも「はい」と答えた回答者が3.5%多くなっている。
受け入れに関し、特別な取り組みを実施、あるいは実施しようとしていますか?(全対象者) (単位:%)
一部の施設では、マニュアルのローマ字併記などに取り組んでいるが、全体としてはまだまだ検討中、様子見など、実施にまでは至っていない現状が伺える。既に受け入れが決定している施設も含まれるが、「語学学校との提携」2.1%など、積極的な施設も見られた。設問に不備があり、「何もしていない」がなかったので、無回答の多くはそれに当てはまると思われる。
EPAの受け入れの枠組みについては、満足していますか?(全対象者) (単位:%)
やはり初年度という事で、「まだわからない」58.8%や「不明、無回答」9.6%という回答が高い割合を占めた。ただ、「はい」11.9%と「いいえ」19.7%だけを比較すると、「いいえ」が7.8%多くなっている。
EPAのどのような部分に満足していますか?(左下設問に「はい」と答えた回答者) (単位:%)
初年度は現地での研修がないため、介護士の「来日資格要件」92.2%は、“現地での看護師資格保有者”に限られた。また、「受け入れ施設の用件」76.5%や「三年後の介護福祉士合格義務化」90.2%など、非常に高いハードルとなっている。「満足している」という回答はまさにその部分に集中している。
EPAのどのような部分に不満がありますか?(左下設問に「いいえ」と答えた回答者) (単位:%)
不満について、特に票が集中した項目は「受け入れのための金額」97.6%と「三年後の介護福祉士合格の義務化」71.4%であった。斡旋業者への手数料や日本語教育費用などを合計すると、初年度で50万円/名以上の経費がかかる。また、次年度以降も必要な経費があり、受け入れ施設には金銭的にも大きな負担がかかってくる。
在日外国人の方を介護職として雇用している、または雇用した事がありますか?(全対象者) (単位:%)
在日外国人の方を雇用するにあたり、必須とする条件はありますか?(上記設問で「はい」と答えた回答者) (単位:%)
ホームヘルパー2級が求められるのは日本人と同じだが、「介護の実務経験」44.3%を求める施設が多く見られた。また、「永住権」34.0%や「日本語能力検定2級」13.2%などを求める施設もあり、在日外国人の方々にとっては、ややハードルが高く設定されているようである。
2に続く
調査実施先:(株)ニッソーネット