若者の「高齢者」に関する意識調査

  • 調査期間
  • 2008/05/26~2008/06/06
  • 調査対象
  • 調査方法
  • 自記式法

調査結果の概要

総合人材サービスの(株)パソナグループでは、若者に対し『高齢者』に関する意識調査を実施した。まず最初に『高齢者』に対する印象について尋ねたところ、1位「物知り」22.4%、2位「思いやりがある」11.3%、をはじめ、『ポジティブな印象』が4位までを占め、合計すると『ポジティブな印象』は69.4%を占めた。高齢者を肯定的に受け止めている若者の姿勢が窺える。『高齢者』に接することが得意かどうかについて問うと、「得意である」が25.7%、「やや得意である」が34.2%となっており、合計すると59.9%が「得意」と回答。「どちらとも言えない」との回答も27.0%と比較的多くなっているが、「苦手である」とした割合は5.9%、「やや苦手である」とした割合は7.2%に留まっており、高齢者に接する事に対して苦手意識を持っている若者はさほど多くない模様。『高齢者』に対する他の世代からの支援の必要性について尋ねると、「(支援が必要だと)思う」の割合は55.3%、「どちらかといえば思う」の割合は25.7%となっており、合計すると81.0%が「必要」と考えている事が明らかとなり、高齢者支援への意識の高さが見て取れる。高齢者に対して必要と思う支援については、「介護・日常生活のサポート」や「経済的なサポート」を重要視する回答が多いが、「気遣い・思いやり」など高齢者に接する人の「心の持ち方が大切」とした回答も目立つ。2008年4月開始の「長寿医療制度(後期高齢者医療制度)」の認知度は、「名前を聞いた事はあるが、内容は知らない」が44.7%と最も多かった。次いで「名前を聞いた事がなく、内容も知らない」が38.2%と多い。一方で、「名前を聞いた事があり、内容も知っている」とした割合は17.1%に留まっており、同制度の名前は知っていても、内容までは知らないというのが多くの若者の姿だといえる。

調査結果

下北沢周辺、東京丸の内周辺・自由人(フリーター)協会Webサイト「F-navi」10代20代を中心とした若者152人(街頭における自記式アンケート)
“高齢者”に対する印象についてお尋ねします(n=450)(MA) (単位:%)
“高齢者”に接する事は得意ですか?(全体:n=152) (単位:%)
【参考】“高齢者”に接する事は得意ですか?(全体:n=152)
<高齢者との同居経験との関係> (単位:%)
“高齢者に接することが得意かどうか”と“高齢者との同居経験年数”の関係性について見たところ、高齢者との同居経験が「3年以上」と回答した層のうち、44.6%が高齢者に接することを「得意である」と回答している。一方、高齢者と「同居経験がない」と回答した層では、「得意である」とした割合は11.3%に留まっている。「高齢者との同居経験が長い方が、高齢者と接することを得意と感じる」といった傾向が、おおよそ見てとれる。
“高齢者”に対して、他の世代からの支援が必要だと思いますか?(全体:n=152) (単位:%)
“高齢者”についてどのような支援が必要と思いますか?(95件の自由記述回答)
内容件数回答例
介護・日常生活のサポート35身体的介助/介護面でのより強力な支援/体の不自由な人の
生活サポート/体力的にできないことのフォローなど
経済的なサポート22お金/金銭的支援/本当に必要な人への経済的支援など
気遣い・思いやりなど心の持ち方19思いやりの心/電車で席を譲るなど小さなことをコツコツと行なう/
優しく接してあげるなど
話し相手になるなど、精神面でのサポート18触れ合い/メンタル的サポート/一緒におしゃべりをする/
世代を超えて積極的に会話するなど
社会制度・基盤の整備14年金制度の見直し/介護事業をもっと充実させる/バリアフリーな
生活環境/安心して暮らせる仕組みを国がつくるべきなど
一人暮らしへの配慮  5家族が同居する/一緒に暮らすなど
その他12地域単位での活動/情報教育/近所のコミュニティをしっかりさせる/
一人ひとりに合わせた支援など
“長寿医療制度(後期高齢者医療制度)”を知っていますか?(全体:n=152) (単位:%)
<今回の調査より>
今回の調査から、若者の高齢者に対する“理解”が窺えました。“近頃の若者は-”といった目で見られがちな10代・20代の若者は、きちんとその声に耳を傾けてみると、考えている事は真面目で高齢者への優しさも持ち合わせています。彼らの優しさは、“高齢者に必要と思う支援”について尋ねた質問に対して「思いやりや、気遣いが重要である」とした回答が多く含まれていた点からも窺えます。今後、高齢化・人口減少社会を迎えるにあたり、若者達のあいだに高齢者に対する前向きな姿勢が見られる事は頼もしい事ですが、「長寿医療制度(後期高齢者医療制度)」へ内容の理解の低さについはどのように捉えるべきでしょうか。制度内容についても議論されるべきですが、制度そのものについての理解を深める事も不可欠ではないかと考えられます。日本の将来にかかわる制度の今後について、制度の仕組み・内容の周知徹底と、世代を超えた対話の場、意見の集約が必要とされているのではないでしょうか。〔自立人(フリーター)協会事務局〕
調査実施先:(株)パソナグループ