第一生命経済研究所「自殺と孤独死に対する意識」

  • 調査期間
  • 2007/10~2007/11
  • 調査対象
  • 全国の30歳~69歳までの男女774人(男性385人、女性389人)
  • 調査方法
  • 質問紙郵送調査法

調査結果の概要

(株)第一生命経済研究所では、全国の30歳から69歳までの男女を対象に、標記についてのアンケート調査を実施した。その結果、自殺者の家族に同情する人は多いが、自殺した本人に対しては、その背景によって感情が異なる事が明らかになった。自殺について、4人に3人は「どんな理由でも自殺はすべきではない」76.7%、「家族や親しい人でも、自殺しようとしている事に気づくのは難しい」76.0%と思っている。また、「自殺をする人はストレスを溜め込む人だ」63.4%、「自殺をする人は頭が混乱して、自分でも何をしようとしているのかわからない」59.9%という意見も6割ほどあり、『自殺は病理である』と捉えている人が多い事がわかった。自殺防止対策として必要だと思うもので最も多かったのは「高齢者の孤独や孤立の防止」で40.9%だった。自宅などで誰にも看取られずに亡くなる事を一般的に孤独死と呼ぶ。孤独死について抱いているイメージは?「誰にも看取られない最期は可哀想だ」と思う(「そう思う」60.8%+「まあそう思う」26.2%)人は87.0%。一方、「孤独死するのは友人や家族のいない寂しい人だ」と思う人は53.2%と半数程度だった。自らの孤独死の可能性について「殆んど可能性はない」19.1%と確信している人は2割ほどで、「多少可能性はある」と回答した人は38.2%となっている。特に、『未婚』や『子供がいない』人に「多少可能性はある」との割合が高い。孤独死防止対策の最も多かったのは「日頃から家族が連絡を密にする」51.2%で半数を占めた。

調査結果

自殺者やその家族への感情・同情(全体)
<過労で自殺したAさん> (単位:%)
<ギャンブルの借金苦で自殺したBさん> (単位:%)
2つの事例を設定し、自殺の要因によって自殺者への感情がどう異なるのかを考察した。まず、“仮にAさんは貴方の友人として、仕事が忙しく残業が続いた上に何ヶ月も休みが取れない状況。その結果、過労のために自殺でなくなった”と仮定。この場合、Aさんに「とても同情を感じる」と回答した人は66.7%もおり、「多少感じる」27.6%を大きく上回っている。また、Aさんの家族に対しても「とても同情を感じる」人が69.4%もおり、本人や家族に対する同情心はとても強い事がわかる。同様に、“貴方の友人のBさんはギャンブルにのめり込み、多額の借金を抱え、借金苦に自殺でなくなった”と仮定。「非常に同情を感じる」と回答した人は6.3%に過ぎず、「多少感じる」38.0%をあわせても、Bさんに同情する人は44.3%と半数に満たず、Bさんの家族に同情する人は84.3%と多いものの、Aさんの家族に同情する人より少数だった。
自殺についての意見(「そう思う」+「まあそう思う」の合計:全体) (単位:%)
上記の他にも「人には自ら死を選ぶ権利がある」35.0%や「自殺が唯一の解決手段になる場合もある」25.2%、「他人に迷惑をかけなければ、自殺をしても構わない」15.3%といった意見もあった。
自殺対策防止として必要だと思うもの(全体) (単位:%)
自宅などで誰にも看取られずに亡くなる“孤独死”に対するイメージ (単位:%)
自身の孤独死の可能性について (単位:%)
孤独死防止策として必要だと思うもの(全体) (単位:%)
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/news/news0805.pdf
調査実施先:(株)第一生命経済研究所