調査結果の概要
学生に基礎学力がない―。このように感じている私立大学の教員が56.3%に上る事が(社)私立大学情報教育協会の調査で明らかになった。初等レベルの数学や読解力の不足は授業を進める上で大きな障害になっており、『入学してすぐに組織的な対応が急がれる』と指摘している。まず、授業で直面している学生の問題点を尋ねたところ、「基礎学力がない」が最も高く56.3%。これに「学習意欲がない」37.2%、「教員の言葉を理解できない」13.0%と続き、分野別で見ると、『基礎学力がない』が最も高かったのは「理学系」で70.4%。『学習意欲がない』では「工学系」43.8%が最も高かった。一方、教員自身の問題点としては「動機付け・学習意欲を高める工夫が難しい」47.6%、「授業設計、授業技術の工夫が必要」30.2%、「関連教科との連携が難しい」28.4%などが上位に挙げられ、分野別では『動機付け・学習意欲を~』のは「理学系」54.6%、『授業設計、授業技術の工夫が必要』については「生活・家政系」37.2%がそれぞれ1位となっている。大学側の問題点としては、「組織的な教育・学習支援(人、物、金)がない」40.3%が最も高く、「教育の質保証に対する危機意識が低い」32.3%が続き、分野別で見ると、『組織的な教育・学習支援(人、物、金)がない』が最も高かったのは「生活・家政系」45.1%。以下、「保健系」42.8%、「教育系」41.3%の順となり、一方、『教育の質保証に対する~』では「理学系」36.6%、「人文科学系」35.6%、「芸術系」35.5%などが高かった。授業改善に向けた課題として教員はどのような努力をすべきか?最も高かったのは「学習意欲を高めるような授業設計・運営を工夫したい」79.1%で、およそ8割。以下「授業中に学生の反応を捉え、理解度に応じた授業をしたい」60.0%、「対話を重視した授業を徹底したい」34.7%などが挙げられ、分野別では、『学習意欲を高めるような~』が最も高かったのは「理学系」84.1%。『授業中に学生の反応を~』でも「理学系」70.5%が最も高かった。
調査結果
※調査対象 : 実施先協会加盟の大学・短期大学における助教以上の専任教員 大学:334校(21,797人)、短期大学:125校(1,806人) - 授業で直面している問題点(総計)
<学生に関する問題点> (単位:%) - 【参考】 (単位:%)
基礎学力がない 学習意欲がない 1 理学系 70.4 工学系 43.8 2 工学系 66.1 保健系 42.8 3 人文科学系 60.2 情報科学系 42.5 4 生活・家政系 59.0 理学系 38.0 5 学術系 54.4 社会科学系 36.2 - <教員自身に関する問題点> (単位:%)
- 【参考】 (単位:%)
動機付け・学習意欲を高める工夫が難しい 授業設計、授業技術の工夫が必要 1 理学系 54.6 生活・家政系 37.2 2 工学系 54.0 教育系 35.4 3 情報科学系 50.2 芸術系 33.3 4 社会科学系 49.1 人文科学系 31.1 5 保健系 46.6 社会科学系 30.6 - 授業で直面している問題点(総計)
<大学に関する問題点> (単位:%)
☆ FD(ファカルディ・ディベロップメント)とは? 教員の授業内容や教育方法などの改善・向上を目的とした組織的な取組みの総称。 - 【参考】 (単位:%)
組織的な教育・学習支援がない 教育の質保証に対する危機意識が低い 1 生活・家政系 45.1 理学系 36.6 2 保健系 42.8 人文科学系 35.6 3 教育系 41.3 芸術系 35.5 4 情報科学系 41.1 社会科学系 33.1 5 芸術系 40.2 工学系 33.1 - 授業改善に向けた課題(総計)
<教員による努力> (単位:%) - 【参考】 (単位:%)
学習意欲を高めるような授業設計・
運営を工夫したい授業中に学生の反応を捉え、理解度に
応じた授業をしたい1 理学系 84.1 理学系 70.5 2 情報科学系 82.5 人文科学系 62.4 3 農学系 80.8 情報科学系 61.5 4 保健系 80.6 工学系 60.1 5 工学系 80.5 生活・家政系 59.3